日本での幸せライフレシピ
トゥ チャンさん –株式会社大倉の正社員ー
日本に来たきっかけは何ですか?
2015年、会計学部を卒業した後、幸運にも朝日新聞社から全額奨学金をいただくことができました。当初の計画では、日本で数年間勉強して働き、その後ベトナムに戻るつもりでした。
しかし、日本に長くいればいるほど、日本の文化や人々、特に日本人の働く姿勢が好きになり、ベトナム社会のあり方を変えることに貢献したいという大きな夢を持つようになりました。
日本のよいところをベトナムに、そしてベトナムのよいところを日本にもたらしたいと思っています。
現在、何のお仕事をなさっていますか?
私は現在、旭食品グループの一社で、寿司屋や居酒屋に海産物を卸している株式会社大倉の正社員として働いています。
日本で学んだことのうち、最も良かったことや、強く印象に残ったことは何ですか?
日本で最も印象的だったのは、日本人の仕事に対する責任感です。日本人は、まるで自分自身の事業を切り盛りするかのように会社に尽くします。
絶対に忘れられない思い出があります。私がステーキガストでアルバイトをしていた時、とある日本人の社員がいたのですが、その方が休憩時間に泣いているのを見たのです。店長に理由を聞いて、その方のお母様が亡くなられたということがわかりました。私は「今は帰ったほうがいい」とも言ったのですが、「私が帰れば、一緒に働いている人たちに影響が出るから」と拒まれました。
さらに驚いたのは、休憩後は涙を拭き、再び笑顔でお客様を迎えていたことです。その時、私はその方の責任感に感心し、これを自らの教訓、鑑にしようと心に誓ったのです。
日本で夢を実現する過程で、どのような困難に遭遇しましたか?
今まで、解決できなかった問題にぶつかったことは一度もありません。私はかなり運が良かったからかもしれませんが、これまでどこの職場も、ベトナム人が私しかいない、あるいは現職の本社の経営企画部にように私が最初で最後の外国人であることがほとんどですが、皆様に気にかけていただき、熱心に助けていただいてきました。
しかし、海外で働く場合、最大の障壁は言葉であることは否めませんので、これからも能力向上のため勉強と練習は続けていきます。
今後の短期的/長期的な計画をお聞かせいただけますか?
まずは、業務能力を向上させたいです。私の仕事は幅が広く、特に顧客や需要に合った商品を探し、会社にとって最良の価格交渉を行うためには、深い知識が求められます。
さらに、会社の顔としてベトナムに拠点を置き、ベトナムの海産物や果物、農産物を日本に進出させたいと考えています。
日本にいる皆様、特に同業の方々へのメッセージをいただけますか?
日本にいらっしゃる若い方々に伝えたいことはただ一つ、この世界で生き抜くためには、少なくとも自分に何が必要で、他の人のために何ができるかを知らなければならないということです。
とてもいい言葉があります。
「誰かがあなたの人生を通りかかったなら、彼らの人生をより良くせずにはおくな」
自分の理想とする人生を知っていれば、それにふさわしい仕事も見つかると思います。そして、給料のためではなく、情熱のために働くようになれば、責任感も違ってきます。また、もし本当は好きではない仕事をしているのなら、今のような厳しい経済状況の中でも、働く機会を与え、しっかり給料を払ってくれる雇用主への恩を忘れないことです。
そして最後に、科学技術の先進国で生活し、働くのなら、私たちは最良のものを学び、知識を身につけるべきです。知識はお金では買えず、経験からしか得られない貴重なものだからです。