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美容

ベトナムの街では、さまざまな化粧品店、美容クリニック、ネイルサロンなどを見かけます。美しくなるため、女性たちはさまざまな施術、商品を駆使していることが分かる光景です。今回は、ベトナム人女性の美容についてお伝えします。

まずはベトナムにおける美容の全体像を見ていきます。

ハノイ市では暑さがピークとなる6~8月頃、頭から足元まで全身を雨具のようなコートで覆いバイクに乗る女性を見かけます。猛暑なのになぜと思いますが、これは他でもない日焼け対策です。白い肌を重視するベトナム人女性なので、暑さを犠牲にしても肌の白さを守るのです。

ベトナム人女性の美意識は、白い肌が土台にあるように思えます。もちろん、これに加えてめりはりあるボディライン、つやのある髪など、あれば良い要素を挙げればきりがありませんが、何より白い肌は女性らしさや気品をも感じさせる美の基準ではないかと思います。

白い肌にするため、日本人なら美白化粧品などを地道に使う人も多いと思いますが、ベトナム人は即効性を求める傾向が高いです。とあるエステの女性社長から聞いた話だと、美肌系ではピーリングやボトックス注入など機械や薬剤を使う施術が人気とのこと。これと同様、痩身なども機械を使い数回でみちがえるように変わる施術が好まれるそうです。

また化粧品は韓国系が人気で、実店舗・オンラインともに韓国商品が目立ちます。これはやはり、韓流の力というべきでしょう。ベトナム人女性の着こなしやメイクは、大人っぽくて華のある女性らしさを強調したコーディネートが多いのですが、これは韓流スターも同様に見えます。韓流スターが、ベトナム人が理想とする女性像に近いという趣向の一致も、韓流人気を押し上げている要因の1つかもしれません。

◇最近の傾向

最近、都市部を中心にドラッグストアが増えています。実際ホーチミン市には、日本の「マツモトキヨシ」も進出しました。買い物客の大半は女性。仕事に家庭に人付き合いと忙しいベトナム人女性が、手軽に美を維持できる化粧品や美容製品をそろえられる場として人気です。

ちなみに5年ほど前、日本を旅行したベトナム人女性を取材した際、「どの観光地に行ったか?」という質問に対し「築地、スカイツリー、ドラッグストア」と答えていました。ドラッグストアは観光地ではありませんが「日本の店はベトナムの比でないほど品数が多い」とのことで、よほど印象深かったようです。彼女が買ったのは、大半がサプリやパックでした。確かにサプリは、日本人が一時帰国する際、ベトナム人同僚から「買ってきて」と頼まれる商品の上位に入ります。健康美を維持するためサプリを利用する傾向も高いベトナムです。

ドラッグストアの一方でオーガニックなど、こだわりのある化粧品を求める傾向も高まっています。ベトナムはココナッツやコーヒー、ハーブなど、自然素材にはこと欠きません。こだわりメーカーはこれらの素材を活かし、無添加など安全性を全面に打ち出した商品づくりをしています。こだわりがある分、価格はやや高め。それでも環境・気候問題の浮上で自然志向の人が増えている昨今、こだわりメーカーの化粧品を利用する人は増えていきそうです。

ベトナム人はもともと健康志向が高いですが、健康美もますます重視されています。これはコロナ禍を経たことや、ファッションの多様化で体の線を強調したり露出の高い服を楽しむようになったことと関係がありそうです。ヨガは根強い人気で、会社員女性が同僚と教室に通うこともしばしば。自転車やフィットネスなど、よりアクティブな方法で美と健康を維持する女性も増えています。

ベトナムの美容トレンドはよく変わりますが、女性たちによる美への旺盛な探求心は揺るぎありません。そのことが非常に刺激的な市場を形成するもとになっているようです。


あさき・ともみ 秋田県生まれ。2000年からライター、韓国語翻訳・通訳、日本語教師と、言葉に関連した仕事に携わっている。2012年からハノイ市に居住。ベトナム航空機内誌「ヘリテイジ・ジャパン」への執筆や編集など活動を続けている。

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